Predictably irrational- 予想どおりに不合理 第9章
第9章 「期待」の価格
人の期待は、物の価値を変える。
なぜ、同じ物事において人はここまでも対立するのでしょうか。
1つの良い出来事が、悪い出来事になることもよくあります。
もちろん利害関係もあると思いますが、物事の見方というのは人によって大きく違います。
DanはMITで、学生にこんな実験をしました。
バルサミコ酢を入れたビールをMITビールと呼び
●美味しいのは?
MITビール。
●前もって種明かしをし、飲んでもらった上で選んでもらうと
●では、飲んだ直後にネタばらしをしたら?
「バルサミコ酢のビール悪くないね」
●飲む前と飲んだあとに、MITビールのネタばらしをした上でレシピを渡したら?
飲む前に知らされた学生「もう一杯飲んでも良いかな」
飲んだあとに知らされた学生「作ってみようかな」
普通はビールに酢を入れようなんて考えないので、
「ビールに酢を入れます!!」なんていったら「いやいや!」と思うのですが
いつどのように知らされるかでこんなに違います。
同じような実験を、仮のコーヒーショップで行いました。
コーヒーを配り、いくらなら買うかという質問に答えてもらいます。
ある日はおしゃれなショップを作り、ある日はよくあるような空間を作り
試した結果、やはりおしゃれな空間の方が高い金額が提示されます。
それで思い出しましたが、テレビで面白い番組があって
適当なレストランをでっちあげで作り、シェフは料理人ではなく
わざと缶詰めをお皿に載せたりして
「何とか産オーガニック何とかの何々風。。。」 という長いメニューを置いてみたのですが
人々の反応が悪くないのです。
無意識のうちの「これだから良いに違いない」というのはここまでも大きな影響をもたらすのですね。
コーラの実験
ペプシが言いました。アンケートの結果ペプシの方が美味しいことがわかりました。
コカコーラが言いました。アンケートの結果コカコーラの方が美味しいことがわかりました。
???
実はブランド名を伝えるか伝えないかで人の答えは異なっていましたが
MRIスキャンではどちらを飲んでも同じ反応をしていました。
前もって伝えない場合、ペプシ
伝えた場合、コーラというように変動があったのは、
人々のコーラに対する印象(CM、思い出、キャンペーン)が評価に影響を与えていたためでした。
このように、人の評価は物の価値を変えます。
例えばハウスパーティをする時は、安いワインを素敵なグラスに注いでみてください。
お惣菜でも素敵なお皿に並べてみてください。
歴史も、同じ事実について理解が異なり対立することがあります。
私たちの偏見や育った環境、教わった内容によって意見がそのように対立してしまうのです。
これまでの歴史を見ていて、和解が難しいことがわかりますが
不可能ではないのでは、と著者は締めくくっています。